2010年1月3日日曜日

ボッピオによる右派、左派の定義

山口二郎「政権交代論」

イタリアの政治哲学者ノルベルト・ボッピオは、一般にフランス革命以後の近代の政治において、この自由と平等が最も基本的な対立軸だることを、歴史的に明らかにしている。革命は、飢え、貧困、失業など基本的な生存の条件を脅かされたことに労働者や農民が怒り、権力に反抗することから始まった。貧民にも人間として生きることを可能にせよという訴えは、生きることに関する平等を主張するものであった。ボッピオは、そのような人間の生命や生活に関する平等志向を「左派」と呼び、それとの対抗上、平等の徹底に消極的な側を「右派」と呼んでいる。(中略)

右派は、自由、特に強者の自由を放任する立場である。

左派と右派の最大の違いは、人間という存在を基本的に同じ価値をもつものと考えるか、そもそも異なったものと考えるかという点に由来している。左派は、人間は等しく人間らしい生活ができるようにすべきだというのが基本的な考え方である。世の中の動きを放置しておいても、自然に平等が実現しない以上、政治の力で社会における不平等拡大の動きを是正すべきだということになる。右派は、人間はすべて能力も個性も異なるという前提でものを考える。だから、経済的な意味でも格差が生じて当然だという考えに至る。

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