2010年1月3日日曜日

企業福祉の破綻の理由は何か

飯田泰之他「経済成長って何で必要なんだろう?」(光文社)

飯田泰之
「第一に、企業福祉がなくなったというよりもできなくなった理由としては、90年代の労働分配率上昇の問題があるかと思います。社会全体が生み出した価値のうち労働者のものになる部分を労働分配率というんですが、90年代の半ばから後半にかけて、日本の労働分配率がちょっと先進国には例を見ない高さになってしまいました。アバウトにいうと、新たに生み出された価値のうち、3分の2が労働者というものが、だいたい各国の長期的な安定水準なんです。
 しかし一時期の日本は7割以上、一時は7割5分に上がってしまった。これをせめて3分の2程度に戻さないと、企業としてはやっていけない。
 分配率上昇の原因は、売上が減ったのに、正社員の給料を下げられなかった。さらには解雇も困難だったことになります。これをいうと労組への恨み言になっちゃいますけれど、なぜ正社員の待遇を低下させていくという選択肢にならなかったのかと悔やまれます。そして、正社員の待遇を守るために、何かほかのことを大きく犠牲にしなくてはならなかった。その結果が非正規雇用の拡大です。

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